日立製作所に20年勤務、
2000年
から米国系通信会社常務執行役員の後、2008年独立しGeoCom
コンサルティング合同会社設立(日本)2009年、GeoCom
Consulting Pvt.Ltd.(India)を設立し、
現在インド、バンガロール市在住。
中小企業診断士、技術士(電気電子)
宅建主任者、電気通信主任技術者
■図でわかる! 新興国の実力 BRICsとNEXT11のすべて
インド編を執筆担当
ANSWER
もちろん、簡単に成功するビジネスはありません。
十分な調査を行い現地において信頼できる優秀なインド人スタッフの採用ができれば
成功の可能性は高まります。
しかし、そう簡単にそのような人材が見つかるわけではありません。
日本語でコミュニケーションできる優秀なインド人がそれほど高い給料を払わずに簡単に
見つかると思われますか?
やはり、
日本人は日本人同士、日本語でコミュニケーションをとれるほうがビジネスはやり易いです。
日本人特有の阿吽の呼吸、以心伝心、日本の文化的背景ということがビジネスにおいても
大きなウエイトを占めるのではないでしょうか。
良い悪いは別として完全には現地人を信頼しきれないというのが日本企業の特徴です。
だから、
大手企業で余裕のある会社は日本人駐在員を派遣するのです。
一方、この国際ビジネス環境で対応できるような、特にインドで通用する日本人駐在員を
選任するのはそう簡単ではないでしょう。
最近は日本人が内向きになっておりグローバル環境で実力を発揮できる人材が不足していると
聞きます。また、駐在員を置くコストもばかになりません。
つまり、インドに限らず、遠隔地でビジネス展開するには現地との意思疎通の良否、
コミュニケーションの如何に関わってくるのです。
それを克服できれば、日本でうまくビジネスができているならばインドでも同様に成功する 可能性が高いということです。
ANSWER
最近の中国の成長は目を見張るものがあります。
日系企業は我も我もと中国市場の開拓に躍起となっています。
現在、中国の人口は13億人、ところが、インドの人口も12億人に達する状況なのです。
その巨大な潜在市場を無視できるでしょうか。
一番いいのは中国とインドの両方の市場を制覇することでしょう。
しかし、両方の市場にエネルギーを割くことはできないというのも事実です。
すでに中国へは多くの日系企業が入り込んでいます。かつては中国を製造拠点として、
いま中国は巨大な市場として捉えている日系企業が多いと思います。
中国ではすでに大きな競争が始まっていますからいまさら中国へ進出しても遅いのではないか。
では、こう考えたらいかがですか。もし、御社が中国進出、あるいはグローバル展開に出遅れたと
いうのであれば、インドを狙えばいいではないですか。
インドに進出している日系企業は600社もないのです。全インドで600社未満、それも多くは大企業。
現在、大企業にしても駐在員事務所を置く程度とか、ジョイントベンチャーを設立している程度です。
現地に住んでいるとわかりますが、インドでは非常に日系企業の存在感は薄いのです。
つまり、大企業による大規模な展開は別として、インドで一番乗りの日本企業になりうるチャンスが
そこら中にころがっているということです。
また、中国一辺倒、かつては米国一辺倒といわれていましたが、 どこかの国だけに偏ってビジネスを進めるのはリスクがあります。
つまりリスク分散という観点からもインドを今から見据えておかなければならないでしょう。
ANSWER
そんなことはありません。
風貌は日本人と中国人は似ているので性格的に近いようなイメージがありますが、
インドでインド人と仕事をするなかで、インド人と日本人のほうが中国人よりも近い感じがします。
メンタル的にも礼儀やチームワークという観点でもインド人は日本人に似ているところがあります。
一度、一緒に仕事をしてみればよくわかると思います。
要は人間と人間との付き合い、信頼関係です。特にインド人が扱いにくいということは全くありません。
ただ、そうはいっても日本人とインド人のメンタリティとビジネス慣行は違います。
ですから、ときどきインド人は扱いにくいとか、やっぱりインド人は違うなという印象をもつことも
あろうかと思います。
しかし、コミュニケーションの難しさは日本人同士でも同じではないですか。
とりわけインド人と日本人が違うということではないと思います。
つまり、事前にインド人のスタイルや仕事への取り組み方、ある程度の文化的背景がわかっていれば、
どうっていうことはないのです。
一緒にあるビジネスを成功させようという思いはインド人も日本人も変わりありません。
ゴールさえ同じであれば同じ人間同士、乗り越えられる壁は低くすることが可能です。
むしろ、インド人のほうが積極的でありポジティブなので日本人のほうが引っ張られてリードされることも
多いのですからよいビジネスパートナーになりうるでしょう。
ANSWER
確かに複雑で日本人が簡単に理解することができるものではありません。
したがって、現地人の会計士や弁護士のサポートが不可欠です。
弊社は現地の会計事務所を多く知っており、実際に一緒に仕事もしていますので御社に最適と思われる
事務所や会計士をご紹介します。
また、当社の取締役の一人は弁護士なので労務問題やその他諸々の法的な問題について
リーガルアドバイスを差し上げることができますのでご安心ください。
これらの現地人のアドバイザのバックアップとともに現地から日本語で私どもがサポートさせて
いただきますので大企業のように専門家を雇う余裕のない中小企業の方々も
ご安心していただいていいと思います。
ANSWER
法人の設立はそれほど難しくありません。インドの会社の場合は最低でも2名の取締役が必要ですが、
全員日本人でもかまいません。
インドでは取締役に就任する際に、DIN(Director ID Number)の登録が必要であり、
DIN番号があれば、他のインドの会社の取締役に就任することが可能です。
DINを取得するために日本人の場合はパスポートのコピー他、住民票のコピーを英訳したものを
日本の公証人役場で公証してもらった書類が必要です。
最短でも2カ月弱で法人の設立が可能です。
むしろいろいろ面倒なのは銀行口座の開設や、インドの税務当局への申請です。
その提出すべき書類の多さに加え、
それらの書類に全てのページに権限者のサインが必要なのです。
権限者の写真もいろいろな書類に貼る必要があります。
つまり、それらの書類にサインをとるなど日本とインドの間で何回もやりとりしなければ
ならないためその往復に時間がかかります。
したがって、インド国内にサインをする権限を有する者がいるのといないのでは、
かかる時間が全然違ってきます。
一方、設立準備が進んでやっと銀行口座を開設したとしても、インドではいろいろな支払いに
小切手を使うため、小切手にサインする者はだれかを決めておかなければなりません。
つまり、信頼できる人物をインドに置く必要があるのです。
信頼できるインド人を見つけることができればいいのですが、そう簡単に信頼関係ができるとは
限りませんし、インド人の場合、考え方、文化がやはり日本人とは違うため信頼していたインド人に
対して失望感を抱いたり裏切られたと感じることもあるかもしれません。
しかし、日本人が現地にいるならばある程度その不安感は払しょくされると思います。